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浄土真宗本願寺派 西法寺 大阪府柏原市

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浄土真宗とは

今月の法話

2025年6月の法話
  「 何に遇ったのか それによって その人生は決定する 」
          (2025年 真宗教団連合「法語カレンダー」6月のことば)
 今月の法語は、浄土真宗本願寺派廣臺寺の住職で、本願寺派の勧学であり、教学研修所の所長、行信教校名誉校長などを歴任された梯實圓和上(1927~2014)の言葉です。
 先生には、私もご縁を頂き、その優しいお人柄にも触れさせて頂き、静かな口調の中にも厳しさをこめた言葉で語ってくださったことを思い出します。
 
 今月の言葉は、季刊誌『一味』(一味出版)の2019年春号に書かれた一文です。(実際には2002年に先生がされたご法話の中で語られた言葉だそうです)
 この時のご法話は「仏に遇う」という題名であったという事です。そのお話の中で、「何に遇ったのか それによって その人生は決定する」という今月の言葉が、語られたという事ですから、仏さまに遇うことで安心して生きる道が与えられることを示されたのではないかと思われます。
 ただ、今月の言葉をそのまま聞かせて頂きますと、多くの出遇いの中で今の自分がここに居るということに改めて気付かせて頂きました。そして、その出遇いのお陰を大切にしてこなかった自分ではないかとも思うことです。(お恥ずかしいことです。)

 さて、梯和上の著作に『親鸞聖人の信心と念仏』(自照社出版刊)という本があります。その中に足利源左(あしかがげんざ)という妙好人のお話が紹介されています。(少し長くなりますが引用させて頂きます)

 ≪ ご法義というのは自分の人生観を転換することです。ものの考え方の基盤を転換することです…(略)…本当の如来さまに遇うということは、自分の力ではとてもできませんが、しかし、真剣に聞くものは必ず遇わせていただけます。  …(略)…
 
 源左さんは草刈りをして大きな草の束を作り、一つは牛の背に乗せて、そして一つは自分が背負って、帰りはじめましたが、どうしたことか、急にぎゅーっと、お腹がしめつけられるように痛くなった。しばらく道端で休んでいると、治まった。そこで草を背負って歩き出すと、また痛くなる。何回かそれを繰り返して、もうこれはどうしようもない。それで牛に、あのあたりは牛のことを「でん」というのですが「でんよ、すまんけどな、これを持ってくれ」と、自分の草の束を牛の背中に乗せた。すると、すーっと軽くなった。軽くなった途端に、お腹の痛みもすーっとなくなった。楽になった。
 そのとき彼は、ふっと気が付いたのです。「これだ!」と気が付いたのでしょう。「自分の人生、自分が背負って行く他ないのだから、だから俺が背負って行くしかない、と気張っていたけれども、じつは私の生も死も、すべてを背負ってくださる方がいたのだ。そのお方に生も死も委ね、お任せすればよかったのだ」と気が付いたのです。「これだ!」と気が付いた瞬間に、彼の眼の前がぱぁっと開けた。つまり、仏さまに遇ったのです。「ふいっと分からしてもらったいな」と後々まで語っています。   …(略)…
 それから、彼の人生観が変わっていきます。今まで自分が主人公の人生だったのが、その日から、如来さまが主人公になった。何かにつけて如来さまに相談しながら、生きる人生がそこから開けてくるのでした。仏さまにお任せするということは、私の考えはうそばかりで、如来さまの仰せこそがまことであると受けとれるようになったことです。  …(以下略)… 

 そして先生は、
 「教えをまことと受けいれていなかったら駄目なのです。仏さまの教えを聞いているからこそ、その教えが身に付いたからこそ、身に付いた教えが内側から私を変革し、私を導いてくれるのです。何も聞かなかったら何もわかるわけがない。  …(略)…
 こうして源左さんは、仏法を聞く耳が開かれ、大きな転換をしていくわけです。そこから源左さんの『ようこそ ようこそ なんまんだぶつ なんまんだぶつ』と言いながら生きる人生が開かれていくのでした。」と申されています。 
 
 源左さんは、お父さんが往生されてから10年以上聞法を積み重ねて来られたことと伺っています。繰り返し繰り返しの聞法の大切さを教えてくださっています。
 さて、今月の言葉は、「まこと」なるものに出遇ってくださいという梯先生のメッセージと受け取らせて頂いていいのではないかと思います。
 私の重荷、いや、私そのものを丸ごと抱えて引き受けてくださる阿弥陀さまが私に向かってはたらき続けてくださっています。
 「南無阿弥陀仏」のお念仏を称えさせていただき、阿弥陀さまのまことのはたらきの中にある自分であると受け取らせて頂きたいものです。
 皆さまお念仏申しましょう
                                    南無阿弥陀仏